ちんたらひっち旅#4 山下りとヒッチハイク
朝5時
剣山の山頂にて目を覚ました僕は外を見てみると既に明るくなっていた。
やっべサンライズを見逃す!!と急いで荷物をまとめて外に出ると、、、
ガスに覆われていて視界がとても悪くなっていたのでした。そのまま下山していくと視界が開けてまたしても綺麗な朝日を拝むことができました。
令和の元年周辺で夕日と朝日を山頂から見れて心もポカポカしながら、するすると下山。
歩いて12時間で目的の宿までつくということで
まぁ歩いて疲れたらヒッチハイクしよう
くらいに考えさらに下山を開始した。
標高2000m近い剣山
下山道も壮大な自然を満喫しながら歩いていた。まだ木の蕾しかないくらいだった登山口から下山していくと徐々に蕾から新芽が出ていたり、桜は開花の順序がよく分かるくらい上から順繰りに咲き誇っていた。色もピンク、白、少し赤めのピンクなど様々、空海もこの景色を愉しんだのかなぁと昔に想いを飛ばしながら歩く
一時間くらい歩いたころ、
一台も車が通過しないことに気づく。
あれ?こっちの道はマイナーだったのかな?
まぁもう少ししたら1台くらいは通るべさ
一時間も歩くと絶景とかもの思いとかそういうのもなくなり、またしても歌を歌いながら歩いていく。
2時間歩いたころ
500mlの飲み水を飲みきってしまい、時折流れてる水をくむ。
朝ごはんを食べていなかったので空腹感に囚われていた。手持ちの食料は
ハイチュウと羊羹1つ
じつは歩き始めた頃から羊羹が食べたくてしょうがなかったのである。
流石にそろそろ時間も経ってきたから下山者が車に乗ってくるだろう。
そんな予測で自らの食欲に負け、羊羹をあける
下山しながら羊羹を食べるなんて贅沢♩とか思いながらしばらく歩いてると、少し腹に物を入れたからなのか以上にお腹が空いていた。
千葉で暮らし始めてから一緒に暮らす閻魔大王からしこたま腹一杯美味いものを食べさせてもらっていたこともあり、僕の体は食欲に勝てなくなっていた。
ついにはハイチュウにも手を出し30分ほど歩いた。
ハイチュウを食べきった時、
車よ!こい!こい!と祈ってると
車の音がブロロロロロロと聞こえてきた。
きたー!!!!とやったやったやったったー♩と歌いながら小躍りしていると、
ブロロロロロロ
通ったのはこれから登る車
あまりに悲しくなり、僕はその辺の気持ち良さそうな岩の上に横になりふて寝をすることに決めた。
日差しも朗らかにさしていてとても気持ちよく30分ほど目を瞑って過ごしたいた。
しかし一向に車は通らない。あぁこのまま車が通らなかったら僕はどうなるんだろう、、、
とか
このまま日が落ちて暗くなったらどうなるんだろうとか考えていると寝てる場合じゃない!
と心を奮い立たせ歩き始める。
Googleマップを開くと道のり4キロほど歩いたところにスキー場のゲレンデがあった。
頼む!!ここに人よいてくれ!!
そんな思いで歩いていた。
下山し始めの頃は下りばかりだったが
この辺りから徐々に登りも交えての下山になっていた。
歌も飽きてしまい。小説も読み終えた僕が出した最終秘密兵器
それはHulu
ルパン三世のカリオストロの城をダウンロードしていたことを思い出し、
気休めにとそれを見ながら残りの道を歩いた。
歩きながら映画が観れる。あぁなんて便利な時代なんだ笑笑と1人苦笑
そんな文明の利器の力を借りながら、ゲレンデ付近に到着する。
ロッジがいくつもあり車も止まっていてどうやらオートキャンプ場のようになっていた。
とりあえず
人がいてよかった〜〜
と安堵をしているとキャンプ場の掃除スタッフのおばちゃんがいたので、ここら辺でご飯たべれるところか売店てありますか??と尋ねた。
教えてもらった売店ではお菓子やカップラーメンが売っていたので、カップラーメンを購入。
150円のカップラーメンが物凄く上手く、
売店のソファとテレビでニュースを見ながらすするカップラーメンは、普段の日常という安心感で満たされた気持ちになっていた。
通常の登山でも下山後にそういった気持ちになるが、今回のはゲレンデがもう使われてない寂れたところだったらさらに何時間も歩かなければいけなかったことも相まって今までにない安心感だった。
カップラーメンを食べ終わり、売店の売り子さんがゴミを回収してくれたので
ご馳走様でした。と挨拶をしまた歩き出した。
キャンプ場には車がたくさん止まっていたことと、10時を過ぎていたのでチェックアウトのお客さんがチラホラ見え始めていた。
缶コーヒーを買いキャンプ場の入り口付近で
下まで
と書いたスケッチブックを持って構えていると
早速一台が通りかかった。
久しぶりの車だったのでこちらの笑顔もより一層増していたことだろう。
しかしブロロロロロロと通り過ぎてしまった。
まぁそんなに上手くはいかないか!と
ドンマイドンマイと心の中で慰めてると
後ろからブロロロロロロ!!と爆音が
なんと先ほどの車が猛烈な勢いでバックしてきたのである。
きたきたきたー!バックを持ってこちらも走って向かう。
家族連れのハイエースのドアが開く。
すんません!わざわざバックしていただいて、、、
この時の僕は待ちに待った車だったので
本当に有難い気持ちで一杯だった。
「ほんとに下まででいいんやな?笑笑 下り坂終わったら下ろすで笑笑」とおとうさん。
あと8時間くらい歩かなきゃならなかった身としては大助かりなのはもちろんのこと
「少しだけでもかまいません!助かります!」
ファミリーカーに乗車し、どっからきたの?から始まりさまざまな質問に答えながら下りの道を眺めてると険しいこと険しいこと、、、
道も細いし「ぼく、こんなところ歩こうとしてたんですね、、、笑」と思わずポロリ
「俺らももうちょっとしたところで曲がってしまうけん。でもそこはもうちゃんとした集落のある道路やから拾ってもらえるわ!」
乗っけてくれて次のことまで考えてくださるのがヒッチハイカーを乗せてくれる方々の性質です。本当に優しい。
下ろしてもらうとそこには、、、
剣山の谷間の村々がある、視界の開けた大きな街道が伸びていました。
少し車に乗っけて誰かと話せるだけで疲れも吹き飛とぶもので、またルンルンと歩き出した。
10分に一本車が通るか通らないかって感じだったので今度は
「ちょっとそこまで!」とスケッチブックに描き(この頃から少しふざけ始めていた)歩きながら車の音が聞こえたら、スケッチブックを出す方式で進んでいた。
すると今度は
本当にちょっとそこまでだけどいい??
と優しそうなメガネをかけたおじちゃんがとまってくれる。
満面の笑みではい!と答えて乗車。内心はちょっとそこまででとまってもらえたと喜んでた。
関西から地元徳島に帰ってきていたそうで、
ぼくがここの自然は本当にスケールが大きくて凄いですね!と聞くと
いや、そうなんだよ!ぼくも帰省するたびにやっぱり見入っちゃうんだよね。ここの山は〜
と故郷の自然のことを嬉しそうに話すおじちゃんでした。
街道沿いにログハウスの休憩所が見えてきたのでそこで下ろしてもらった。
その休憩所をのぞいてみるとお店の名前が
まさかの「れいわ」
日にちは5月3日、れいわなりたてである。
思わず入っちゃいますよね笑 中に入ると素敵な音楽が流れていて喫茶店風な様子。本棚にはしあわせなふくろうという絵本が
こっちのほうが沢山餌が食べられるぞ!と経済的な循環の中にいる鳥たち。沢山食べられるがいつも喧嘩ばかり。そんな鳥たちにしあわせな暮らしをしているふくろうの噂が届く。
しあわせな暮らしに興味を持った鳥たちはふくろうの元を訪ねにいく。
そこには四季を眺めることやパートナーとの対話や調和を大切にする素朴な暮らしがあった。
しかし、それを見た鳥たちは
そんな素朴な暮らしをするふくろうをバカにして去っていった。
そしてふくろうはしあわせな暮らしを続け
鳥たちは経済的な暮らしに戻っていった。
というお話
40分ほど「れいわ」でゆっくりしたのち
近くの温泉宿を目指す。
先ほどの絵本に出てきた森のような道を歩く。
日差しも強まっていたが日陰に入ると涼しい空気に触れる。汗ばみ、すずみという心地よさを楽しみながら、温泉宿に到着。
お風呂のテラスからの景色はこちら
旅をしている時の温泉宿は本当に疲れを癒してくれます。これがあるからまた歩ける。
昔の人たちも温泉や茶屋などを経由して陸路を歩いていた。その愉しみに思いを寄せながら
テラスで素っ裸の仁王立ち。
気持ちよか〜気持ちよか〜
お昼ご飯も頂いてる時に
今日泊まる予約をしていた宿から
「今わなに鹿が入ってるかお客さんと見に行ってるから15時ごろに来てもらえると助かります。」との連絡が入っていたので
休憩室で仮眠。
残り宿までは車で1時間ほどの距離。また歩き出す。20分ほど歩くと狭い山道が見えてきた。ここに入るとまた車の通りが減りそうな気がしたので、止まってヒッチハイクを開始。
すると丸太を積んだ4トントラックが止まってくれた。あれにのりたいな〜あれ止まってくれないかな〜でも無理だろうなぁ〜とか思ってただけに、大型のトラックが目の前で停まってくれる迫力や音が今でも鮮明に覚えています。
えぇぇぇぇぇ!とか言いながらトラックを見て周り、ドアを開ける。
こんな大きいトラックを運転しているとは思えない、か細いおじいちゃんが「乗ってくかい?」僕は「こんな大きいのになれるなんて夢みたいです。」と本気で答えて乗車。
おじいちゃんからは山のことを沢山教えてもらいました。面白いことに、人がすまなくなったことで、川が綺麗になり過ぎて魚が減ってしまっているそうです。
また、戦後の植林で杉が増えてしまったことで、山の木の保水力が下がり、雨が降るとすぐ川の水かさが増えてしまったり、山で栄養をプールすることもできなくなり、川や海に栄養が流れずという悪循環を引き起こしていること
しかし、その戦後の杉の植林がなされなければ今の日本がないことも確かだとおじいちゃんはいいます。
戦後のことは僕の世代だと知らないことの方が多くて、植林に関しては悪いイメージしか持ってなかったのですが、それがあるからこそ復興できた事実があることを知りました。
ヒッチハイクは本当に色々なことを教えてもらえます。
話していると目的地に近づいてきて、そろそろです。と告げるとここはうちの部落じゃねぇかとおじいちゃん。今日泊まる宿のご近所さんでした笑
夜つまらなかったらうちにこいよ!
といっていただき、お別れとなりました。
さぁいよいよこの旅の目的地の一つ
ひとてまやさんが目前となってきました。
山間にある部落の一番上に位置する宿で
坂を登っても登ってもなかなか着かないところがまたワクワクを膨らませてくれました。
もう少しで到着する!その時小さな女の子の笑い声と走ってくる声が聞こえてくる。
前から2人の女の子が走ってきて、
おにいちゃんだれー??と走り去って行きました。今日お嬢ちゃんのうちに泊まるものです。よろしくねと伝えると
「今日はうち帰らんもーん!ハッハッハー!」
と走り去って行きました。
この宿を営んでる家庭には子どもが4人
今は午後4時
楽しみな時間がついに始まった。